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Intoroduction
ブライアン・ウィルソン公認!

 ワンフレーズを聴いただけで、心が浮き立つメロディーがある。なんとなく口ずさむだけで、笑顔になる歌がある。ザ・ビーチ・ボーイズの中心的存在だったブライアン・ウィルソンが生み出したのは、間違いなくそんな曲だ。「サーフィン・U.S.A.」、「素敵じゃないか」、「グッド・ヴァイブレーション」──誕生から半世紀を経た今も、映像作品やCM、街角やカフェで頻繁に流れている数々の名曲は、今日も世界のどこかで、誰かの傷ついた心を優しく温かく包み込んでいる。

 時代を越えて愛され続けるなかで、ザ・ビーチ・ボーイズの音楽的評価は絶対的なものとなった。なかでも発表当時は斬新すぎてファンや評論家を戸惑わせたアルバム「ペット・サウンズ」が、現在ではポピュラーミュージック史上不世出の傑作と称えられ、後世のミュージシャンに多大な影響を与え続けている。ポール・マッカートニーが絶賛したというのも有名な逸話だ。

 だが、それらの曲を作っていた時、ブライアン自身は、決してハッピーではなかった。それどころか、彼の魂は苦悩に引き裂かれ、極限まで壊れていた。いったい何がそこまで彼を追いつめたのか? それでもなお天使の歌のごとき美しいメロディーが生まれた理由とは?

 奇跡の復活を遂げ、72歳になった今も“生きる伝説”として活躍しているブライアンが、その答えを世に明かすことを認めた相手は、アカデミー賞®作品賞に輝いた『それでも夜は明ける』や、『ブロークバック・マウンテン』、『ツリー・オブ・ライフ』のプロデューサー、ビル・ポーラッド。稀有なる天才の謎に包まれた心の内と、名曲が生まれるまでの秘密に迫る、感動の物語を完成させた。

新旧演技派俳優が二人一役で競演!

 1960年代、カリフォルニア。夏とサーフィンの歌が大ヒット、ザ・ビーチ・ボーイズは人気の頂点にいた。だが、新たな音を求めてスタジオで曲作りに専念するブライアン・ウィルソンと、ツアーを楽しむメンバーたちの間に亀裂が入り、威圧的な父との確執も深まり、ブライアンは薬物に逃避するようになる。心血を注いだアルバムの不振をシングルで挽回するが、新作へのプレッシャーから心が完全に折れてしまう。それから20余年、彼に再び希望の光をもたらしたのは、美しく聡明な女性メリンダとの出会いだった。しかし、惹かれ合う二人の間に、ブライアンのすべてを管理する精神科医ユージンが立ちはだかる。メリンダの協力のもと、遂にブライアンは自分の本当の歌を取り戻すために立ち上がるのだが──。

 異なる二つの時代のブライアンを、二人一役で演じ分けるという大胆なアイデアで、音楽史上最も重要なアーティストのいくつもの魅力的な顔を描き出すことに成功した。60年代のブライアンを演じるのは、『ルビー・スパークス』のポール・ダノ。精神的に混乱と変調をきたしていくという難しい役どころに身を投じ、リアルかつ切ない圧巻の演技で絶賛された。バンドのヴォーカルとしても知られるダノは、ブライアンの音程に近付けた声に自身の魂を込めた心に届く歌声も披露している。また、彼の視点からレコーディング風景を完璧に再現、観る者は天才が見聴きした世界を体験できる。80年代以降は、『ハイ・フィデリティ』のジョン・キューザック。人生は失くしたがピュアな心は失くさなかった、愛すべき“駄目な僕”を哀愁とユーモアを添えて演じた。

    

 メリンダには『ハンガー・ゲーム』シリーズのエリザベス・バンクス、ユージンには『シンデレラマン』でアカデミー賞®にノミネートされたポール・ジアマッティ。脚本は『メッセンジャー』で同賞にノミネートされたオーレン・ムーヴァーマンとマイケル・アラン・ラーナー。音楽は『ソーシャル・ネットワーク』で同賞を受賞したアッティカス・ロス。

 想像を絶する苦闘の果てに、希望を見つけるブライアン。映画の最後には、そんな彼からの贈りものが用意されている。自分と同じ孤独を抱えたすべての人たちへの、愛と慈愛に満ちた幸せの贈りものが──。

story
カリフォルニアのスーパーバンド

 スタジオで曲作りに悩む、ザ・ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソン(ポール・ダノ)。1962年のデビュー当時は、迷いなんてなかった。湧き出るように生まれた歌はすべて大ヒット、メンバーの弟のデニス(ケニー・ウォーマルド)とカール(ブレット・ダバーン)、従兄弟のマイク・ラブ(ジェイク・アベル)、そして同級生のアル・ジャーディン(グラハム・ロジャース)と共に、気が付けばスターダムの頂点に立っていた。

人生を見失った、かつてのスター

 人気絶頂から20余年後、ブライアン(ジョン・キューザック)は、ふと立ち寄った車の販売店で、セールス担当のメリンダ・レッドベター(エリザベス・バンクス)と出会う。長らく表舞台から消えていたため、メリンダは彼が誰だか気付かない。彼女の優しい笑顔に惹かれ、弟デニスの死からいまだ立ち直れないことを唐突に打ち明けるブライアン。そこへ精神科医のユージン・ランディ (ポール・ジアマッティ)が現れ、有無を言わさずブライアンを連れ去って行く。あとには“寂しい 怖い 脅えてる”と書かれたメモが残されていた。

ビートルズよりスゴいアルバム

 ハードなツアーが心身への負担となり、フライト中にパニックの発作に襲われたブライアンは、スタジオでの音楽作りに専念したいと弟たちに主張する。ビートルズの新作「ラバー・ソウル」の斬新さに刺激されたブライアンは、彼らを超える「ビックリするような曲を作ってみせる」と約束するのだった。

監視のもと始まった恋

 出会いから数日後、ブライアンからデートに誘われるメリンダ。二人はコンサートに出掛けるが、助手たちを引き連れて当然のように同伴するユージンに、会話の内容まですべてチェックされる。メリンダは困惑する一方で、包み隠さずすべてをさらけ出すブライアンの正直さに心を打たれるのだった。

夢を叶える完璧なレコーディング

 メンバーがツアーで不在の間に、一流のスタジオ・ミュージシャンたちを集めて、レコーディングを開始するブライアン。最初はブライアンの突拍子もない指示に驚いていた彼らも、構築されていく音楽の新しさと素晴らしさに、「君の才能はぶっ飛んでる」と興奮する。ブライアンも自分の頭の中にだけ響いていた音が形になっていくことに、限りない喜びを感じる。

いきすぎた疑惑の治療

 大量の薬を投与され、家族や友人、元妻との間の二人の娘にも会うことを許されず、命令に従わないと激しく叱責されるブライアンを見て、次第にユージンの治療に疑問を抱くメリンダ。一方、ブライアンと心を通わせるメリンダを警戒するユージンは、酒とドラッグによる統合失調症で死にかけていたブライアンを救ったのは自分だと主張し、デートの詳細までも報告しろと脅迫する。

メンバー、そして父との確執

 日本から帰国したメンバーがレコーディングに加わるが、マイクがビーチ・ボーイズの曲らしくないと怒り出す。さらに横暴なあまりブライアンからマネージャーを解雇された父(ビル・キャンプ)は、ビーチ・ボーイズそっくりのバンドを売り出そうと画策する。そして完成したアルバム「ペット・サウンズ」は、初めてヒットチャートの1位を逃す。次のシングル「グッド・ヴァイブレーション」は再び大ヒットするが、新作へのプレッシャーから、ブライアンはさらにドラッグへと逃げ込んでいく。

本当の自分を探して

 メリンダの愛に支えられて、遂にブライアンは真実の歌を取り戻すために、閉じこもり続けた心の部屋から出て行こうとしていた──。

Cast
ジョン・キューザック

1966年6月28日、イリノイ州エバンストン生まれ。父はドキュメンタリー映画の製作をしており、姉のジョーンや兄弟も俳優である。『恋のスクランブル』(83)でスクリーンデビュー。『シェア・シング』(85)、『セイ・エニシング』(89)などの青春映画に出演。友人と立ち上げた映画製作会社「ニュー・シネマ・プロダクションズ」製作の『ハイ・フィデリティ』(00)は、ゴールデングローブ賞にノミネートされた。そのほか『マルコヴィッチの穴』(99)、『セレンディピティ』(01)、『さよなら、いつかわかること』(07)、『推理作家ポー 最後の5日間』(12)、『大統領の執事の涙』(13)、『ドライブ・ハード』(15)など出演多数。また、自身が主催する劇団では、脚本・演出も手掛ける。

ポール・ダノ

1984年6月19日、ニューヨーク州ニューヨーク生まれ。10歳の頃にスカウトされ12歳でブロードウェイの舞台に立つ。17歳の時に『L.I.E.』でスクリーンデビュー。『キング 罪の王』(05)でガエル・ガルシア・ベルナル、『The Ballad of Jack and Rose』(05)ではダニエル・デイ=ルイスなど多くのベテラン俳優と共演。『リトル・ミス・サンシャイン』(06)や、英国アカデミー賞助演男優賞にノミネートされた『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(07)で注目され、『ルビー・スパークス』(12)では主演と製作総指揮も務めた。そのほか『ナイト&デイ』(10)、『LOOPER/ルーパー』(12)、『それでも夜は明ける』(13)などに出演。若手俳優の中でも演技派として最注目の一人。自身のバンドMookではギターとヴォーカルを担当しており、本作でもブライアン本人に負けない歌声を披露している。

エリザベス・バンクス

1974年2月10日、マサチューセッツ州生まれ。98年にスクリーンデビュー。サム・ライミ監督『スパイダーマン』(02)、スピルバーグ監督『キャッチ・ミー・イフ・ユーキャン』(02)、アカデミー賞で作品賞を初め7部門にノミネートされた『シー・ビスケット』(03)、ブッシュ大統領の妻を演じたオリバー・ストーン監督『ブッシュ』(08)、『ハンガー・ゲーム』シリーズなど話題作に次々と出演しキャリアを築く。私生活では2003年に結婚し2児の母である。

ポール・ジアマッティ

1967年6月6日、コネチカット州ニューヘイブン生まれ。父はイエール大学の学長で、MLBコミッショナーを務めたアンジェロ・バートレット・ジアマッティ。大学在学中より舞台に立ち、卒業後もブロードウェイやTVに出演。92年に『シングルス』でスクリーンデビュー。『サイドウェイ』(04)では、ニューヨーク映画批評家協会賞、インディペンデント・スピリット賞を受賞。TVシリーズ『ジョン・アダムス』(08)で、ゴールデングローブ賞とエミー賞のミニシリーズ・テレビ映画部門主演男優賞を受賞。『バーニーズ・バージョン ローマと共に』(10)で、ゴールデングローブ賞ミュージカル・コメディ部門主演男優賞受賞に輝いた。

ジェイク・アベル

1987年11月18日、オハイオ州カントン生まれ。ディズニー・チャンネル・ムービーの『Go Figure』(05)でデビュー。『幸せのきずな』(08)でハンプトン国際映画祭ライジング・スター賞を受賞、そのほか『ラブリーボーン』(09)、『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』シリーズ等に出演。

ケニー・ウォーマルド

1984年7月27日、マサチューセッツ州生まれ。6歳でダンスを始め、数々のダンスコンテストで受賞。プリンス、マドンナ、マライア・キャリー、クリティーナ・アギレラ、ジャスティン・ティンバーレイクなどのアーティストのミュージックビデオやツアーに参加。リメイク版『フットルース』(11)でオーディションを勝ち抜き主役に抜擢、話題となった。

ブレット・ダバーン

ワシントン州エドモンズ生まれ。『アメリカン・ドリーマーズ』(12)、『アドレナリンRUSH』(14)に出演。

グラハム・ロジャース

1990年12月17日、ペンシルバニア州生まれ。 18歳でロサンゼルに移り、本格的に俳優を目指す。『Struck by Lightning』(12)、『Crazy Kind of Love』(13)に出演。

staff
ビル・ポーラッド

1987年に映画製作会社リバー・ロード・エンタテインメントを設立し、多くの話題作を手掛ける。『ブロークバック・マウンテン』(05)で、アカデミー賞にノミネートされ、ゴールデングローブ賞、ヴェネツィア国際映画祭グランプリなどを受賞。『イントゥ・ザ・ワイルド』(07)で、ゴッサム賞受賞。『ツリー・オブ・ライフ』(11)でアカデミー賞にノミネートされ、ゴッサム・インディペンデント映画賞を受賞。『それでも夜は明ける』(13)でアカデミー賞、ゴールデングローブ賞(ドラマ部門)、インディペンデント・スピリット賞、サテライト賞、英国アカデミー賞ほか多数受賞。そのほか『今宵、フィッツジェラルド劇場で』(05)、『毛皮のエロス/ダイアン・アーバス 幻想のポートレイト』(06)、『ランナウェイズ』(10)や『フェア・ゲーム』(10)などを製作。

オーレン・ムーヴァーマン

1966年7月4日、イスラエル生まれ。『Jesus' Son』(99)で脚本家デビュー。アレサンドロ・キャモンと共同脚本した『メッセンジャー』(09)で監督デビューを果たす。同作でベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞、アカデミー賞脚本賞にノミネート、サンダンス映画祭でプレミア上映された。

マイケル・アラン・ラーナー

『ネイキッド・ラブ』(95)脚本・製作総指揮、『オーガストウォーズ』(12)の脚本・原案を担当。

ジョン・ウェルズ

1956年5月28日、バージニア州アレクサンドリア生まれ。TVシリーズ『ER緊急救命室』、『ザ・ホワイトハウス』、『サード・ウォッチ』を含む大ヒットシリーズの監督・製作を手掛ける。04年のエミー賞では、トータル203部門にノミネートされ、46部門で受賞した。『カンパニー・メン』(10)で長編映画監督デビュー。現在アメリカテレビ界において最も多彩な才能を持つプロデューサーとされる。

クレア・ラドニック・ポルスタイン

『オースティン・パワーズ』(97)、『マネー・ゲーム』(00)、『15ミニッツ』(01)、『I am Sam アイ・アム・サム』(01)、『15ミニッツ』(01)、『8月の家族たち』(13) 製作総指揮、『カンパニー・メン』(10)の制作を担当。

アッティカス・ロス

1968年1月16日生まれ。イングランドの音楽家・作曲家・音楽プロデューサー。ナイン・インチ・ネイルズ、コーンなど様々なアーティストと活動。映画音楽では、トレント・レズナーとタッグを組み、『ソーシャル・ネットワーク』(10)でアカデミー賞作曲賞受賞、『ドラゴン・タトゥーの女』(11)でグラミー賞映像音楽部門作曲賞ノミネート、『ゴーン・ガール』(14)でゴールデングローブ賞、サテライト賞にノミネートされた。

songs
I Get Around

1964年に大ヒットしたビーチ・ボーイズ初の全米ナンバーワン・ヒット。イントロからいきなり斬新なコーラスが炸裂するスリル満点の名曲だが、デビュー以来バンドのマネージャー役として強権をふるってきたウィルソン家の父親、マーリーはその良さを理解できず、録音の間じゅうブライアンを罵倒し続けた。この凄絶な口論をきっかけにブライアンはマネージャーとしてのマーリーを解雇。因縁の親子対立が勃発することになる。

Good Vibrations

66年2月から9月まで7ヵ月かけてレコーディングされた傑作。同年10月にシングル発売され見事全米ナンバーワンに輝いた。90時間分以上の録音テープ、4つのスタジオ、そして当時の制作費としては破格の5万ドルを使って練り上げられた“神に捧げるポケット・シンフォニー”。そんな膨大な録音の中から選び抜かれたパーツをコンパクトに凝縮してみせたブライアンの絶妙な編集感覚は世紀を超えて今なお色あせることなく輝き続けている。

Wouldn't It Be Nice

ビーチ・ボーイズのメンバーたちが世界ツアーに出ている間、ブライアンがひとりスタジオにこもり西海岸きっての腕利きスタジオ・ミュージシャンを総動員して編み上げた名作アルバム『ペット・サウンズ』の冒頭を飾ったナンバー。愛する人と結婚し一緒に暮らせたらどんなに素敵だろう…という若者の淡い夢を描いた名曲だ。ツアーから戻ったビーチ・ボーイズが後からダビングした美しく緻密なハーモニーも素晴らしい。シングル・カットもされ全米8位にランクした。

Surf's Up

ブライアンが全身全霊をこめて制作に打ち込みながらも未完に終わってしまった幻のアルバム『SMiLE』の中核を成す予定だった大曲。1962年、“サーフィンに行こうよ。みんな首ったけなんだ…”と天真爛漫に呼びかけ全米デビューを飾ったブライアンは、そのほんの4〜5年後、同じ“波”をテーマに、音楽的にも歌詞的にもまるで違う、これほど深遠なアプローチを聞かせるまでに成長していたのだ。が、その進化/深化を世の中が受け入れるまでにはまだまだ長い時間が必要だった。

God Only Knows

ハープシコード、ホルンなど従来のロック音楽ではほぼ使われたことのない楽器をあえて使用したり、普通ならば考えられないユニークなベースラインを採用したり、斬新なアイディアを様々交錯させながらこの上なくシンフォニックなサウンドを実現してみせた名曲。これも『ペット・サウンズ』の収録曲だ。この曲のコード進行やアレンジにはポール・マッカートニーも大いに影響されたと発言している。「素敵じゃないか」のB面としてシングル発売され、アメリカでは最高39位。イギリスでは2位まで上昇した。

Love And Mercy

1988年にリリースされたブライアンの初ソロ・アルバムの冒頭を飾っていた楽曲。映画、あるいはテレビという間接メディアを通して映し出されるすさんだ世の中の光景を眺めながら、今夜もっとも必要なものは愛と慈悲だ…と、デビュー当時の美しく透明な歌声とはまるで変わってしまったしゃがれ声でブライアンは歌う。長い苦闘の日々を過ごしながら、ひたすら心の平静を願い続けた者ならではの無垢さが聴く者の胸を射抜く。

about brian
profile

ポピュラーミュージック界で、最も深く尊敬されている人物の一人。伝説的なソングライター、プロデューサー、アレンジャー、パフォーマーであり、過去50年で最も才能に恵まれ、影響力のある作曲家と言っても過言ではない。

1942年6月20日、カリフォルニア州イングルウッド生まれ。1961年、弟のデニスとカール、従兄弟のマイク・ラブ、同級生だったアル・ジャーディンと共にザ・ビーチ・ボーイズを結成する。1962年7月、キャピトル・レコードと契約し、同年ファーストアルバム『サーフィン・サファリ』をリリース。当初はサーフロックを強調していたが、すぐに他のテーマも取り入れるようになる。1966年、『ペット・サウンズ』をリリース。史上最高のアルバムの一つとして世界的に認められる。

「アイ・ゲット・アラウンド」、「カリフォルニア・ガールズ」、「素敵じゃないか」、「神のみぞ知る」、そして最もヒットした「グッド・ヴァイブレーション」などに見られる、ブライアンの革新的なヴォーカルと楽曲アレンジメントは、ザ・ビーチ・ボーイズを、アメリカを代表するバンドへと導いた。

ソロアルバム10作品でも大きな成功を収めている。1960年代にレコーディングを始めていたが中断していた曲を完成させてリリースされた2004年の『SMiLE/スマイル』は、ビルボードチャートのトップ20入りを果たし、初のグラミー賞に輝く。さらに2011年にリリースされたザ・ビーチ・ボーイズの『スマイル』で、2度目のグラミー賞を獲得する。

2014年にはBBCのプロジェクト「God Only Knows」で、エルトン・ジョンやスティーヴィー・ワンダーら一流アーティストとのコラボを果たした。2015年4月、11作目のソロアルバム『ノー・ピア・プレッシャー』をリリース。ザ・ビーチ・ボーイズのメンバー他、豪華ミュージシャンが参加し、共同プロデューサーで長年コラボしてきたジョー・トーマスと再びタッグを組んでいる。

Good Vibrations
comment

写真でしか見たことがなかった有名シーンが動いている!
それだけでファン必見です。が、内容も深い。
ここに描かれた苦悩と孤独感を噛み締めてから
改めてブライアンの音楽に接すると、
また違った世界が見えてくるはず。

萩原健太(音楽評論家)

歴史的名盤『ペット・サウンズ』を録音中の
スタジオに忍び込めたら…という夢が
疑似体験できる場面たっぷりの演出がうれしい。
本物のブライアン・ウィルソンが乗り移ったような
ポール・ダノの演技も見事。

森 勉(ペット・サウンズ・レコード店長)

全編に息づく、スタッフ・キャストから
ブライアン・ウィルソンへの「ラブ&シンパシー」。
何度でも観たくなる。

越谷オサム(作家)

たくさんの人に知ってもらいたい物語。
ブライアンの純粋さに涙をハンカチでおさえました。
なんにも心配ないよって安心させてあげたい…。

ショコラ(ミュージシャン・Chocolat & Akitoデザイナー)

なぜ自分がこんなにも
ブライアン・ウィルソンの音楽に心を奪われ続けているのか。
その答えが映画の中に全部あった。
ポール・ダノとジョン・キューザックは、
ブライアンの魂そのものを演じているかのようだ。

能地祐子(音楽評論家)

「神に捧げるティーンエイジ・シンフォニー」を創った天才の苦悩。
その音楽同様、心の奥底へスピリチュアルに突き刺さる
「愛と慈悲」に満ちた名作です。

片寄明人(ミュージシャン・音楽プロデューサー・GREAT3, Chocolat & Akito)

今まで本で読んだり当時の写真を見ながら
膨らませていた妄想がひとつに繋がりました。
特にレコーディングシーンで
徐々に曲が形になって行く様には鳥肌が!
ビーチボーイズファンはもちろん、全音楽ファン必見です!

新井仁(NORTHERN BRIGHT, SCOTT GOES FOR, RON RON CLOU)

天才には闇がある。ブライアンの禁断の日々が、
カリフォルニアの青い空の下で感動的に蘇った。
60年代クリップを実写で再現というアイデアもグッド!

サエキけんぞう(作詞家・アーティスト)

天才でエクストリームな人生は魅力的。
しかもエンタメ業界の光と影なら尚更。
歌もイケるポール・ダノの怪演完璧。
60'sファッションやミッドセンチュリー・インテリアは目に、
マニアックなレコーディング・シーンは耳にも快感。

TOWA TEI(ニュー・アルバム ”CUTE”)

ビートルズからの猛攻撃に対して、
アメリカン・サウンドを一人で創って
対抗したとも言える才能の持ち主です。

湯川れい子(作詞家・音楽評論家)

この映画はブライアンを知らない人にとっては衝撃の半生であり、ブライアンを追い続けた僕らにとっては最高のプレゼントであると思います。
そして今もブライアンが元気に歌っている事の尊さに涙がこぼれます。
素敵じゃないか!

高田漣(音楽家)

「あまりに美しいサウンド」と「自宅録音」は「狂気」と紙一重にある。「音楽は素晴らしく、愛と生きる喜びにのみ寄与する」という映画界の盲点に対する美しくも悲しい警句。

菊地成孔(音楽家/文筆家)

ポール・ダノ渾身の演技に、こっちの心が壊れそうだ・・・
どれだけ苦しんでもの作りに励んでも、結果が全ての世界・・・この作品を観られて良かった。ご褒美を貰った気分です。

滝藤賢一(俳優)

ブライアン・ウィルソンは
他のどのソングライターよりも、
私に影響を与えた。

エルトン・ジョン(ミュージシャン)★

ブライアン・ウィルソンは、
間違いなくポップミュージック界の天才だ。

エリック・クラプトン(ミュージシャン・ギタリスト)★

全く、彼は天才的に耳が良いんだ。
死んだらスミソニアン博物館にでも
寄贈すべきだね。

ボブ・ディラン(ミュージシャン)★

彼の曲づくりの才能にはいつも驚かされる。
本当に素晴らしい。

ブロンディ・チャップリン(ザ・ビーチ・ボーイズ元メンバー)★

『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』は、
『ペット・サウンズ』に並ぼうと作ったんだ。

ジョージ・マーティーン(ザ・ビートルズほか音楽プロデューサー)★

バッハとブライアン。
この二人こそ、おそらく地球上で最も偉大な
サウンドとハーモニーの設計者だ。

M・ウォード(シンガーソングライター)★

★2015.3.30《Brian fest》開催時に寄せられたコメントより
※敬称略・順不同

Interview

この10年から15年「ペット・サウンズ」にはまってね。ブライアンの音楽が好きになった。奇妙なシンクロニシティか何だか分からないが、それから間もなくして当時は別のタイトルだったこの映画の脚本にめぐり合ったんだ。今回の企画について考え始めた時、興味を引かれたのはブライアンの人生の2つの時期だった。伝記映画を作る気はなかったし、作らされるのも嫌だった。「ペット・サウンズ」の時期と、ブライアンがランディと関係するようになる後年の時期を、織り交ぜるのが面白いと思った。そのほうが彼の人生を理解しやすいし、独創的だ。2人の俳優がそれぞれの時期のブライアンを演じるのも面白い。ブライアンのペルソナや精神状態、彼が経験したことをより忠実に反映したものができると思ったんだ。それで映画はさらにダイナミックなものになるとね。

この映画ではブライアンを忠実に描くことが重要だったので、俳優に合わせて脚本を書くことはなかった。“過去のブライアン”、ポールの役をこう呼んでいるんだが、この60年代のブライアンは偶像的なルックスの人物だ。ポールが役にぴったりなのは明白だったし、彼も気に入ってくれた。ラッキーだったよ。 80年代のブライアンを演じる俳優選びは少々困難だった。ブライアンの見た目は10年の間にも様々に変わったからね。『Brian Wilson: I Just Wasn't Made for These Times』というドキュメンタリーを、キャスティングに悩んでいる時に見て、ブライアンのイメージが浮かんだんだ。そしてジョン・キューザックのことを考えた。一度、頭に浮かぶと彼がぴったりだと思えた。彼のような名優が演じるのにふさわしい役だ。彼があまたの苦難を経験し、ダメージを受けた男を演じるのは本当に刺激的なことだよ。

ブライアンとメリンダに会って、彼がどんな人物かをこの目で確かめ、彼らのストーリーを聞いた。本人に会うことができたのは格別だった。この映画を作った後は、ブライアンに対する尊敬の気持ちが何倍にも大きくなったよ。ブライアンというセレブとしてのイメージの背後に、人間的な深みを見ることができた。彼は実のところ我々全員に近い存在なんだ。誰でも変わった性質を持っている。どんな人でも持っている性格だ。我々はそれを隠す力を身に着けたり、自分を鍛え上げたりする。この世界では本当の自分でいることが難しいからだ。でもブライアンは違う。彼はいまだに子供みたいなんだ。話してみると本当に子供っぽい部分を持っている。それを近くで観察することができたんだ。しかもそれを映画にすることができるなんて、最高の経験だったよ。

ブライアンという人間を理解してほしいね。最初は有名人であること、彼の音楽の才能に引きつけられるが、最後は人間としての彼に感情移入してほしい。日常生活で出会う人とどのように接するべきか、どのように相手を扱うべきか、いかに優しくなるかを学ぶことができるよ。彼のような人を受け入れることができれば、ちょっと変わった人にも素敵な人生のストーリーがあるんだ、と考えられる。素晴らしいと思うね。